妊娠中の養生法
出産という一大事は、人生における本当に大仕事です。
「心身一如」という言葉がありますが、これは「こころとからだは一体で、健康でいるために切り離して考えられない」ことを意味します。
おなかの中の赤ちゃんが健やかに育てるよう、また、出産後の育児のことを考える時、まず、あなた自身のこころとからだが健康であることが一番大事なことです。
妊娠中や産後は普段以上にからだを思いやることはもちろん、パートナーや家族、周囲の方との信頼関係を是非とも築いておいてください。
中医学では、何かが不足したために体調が悪いことを虚症(きょしょう)といい、逆に何かが過剰なために体調が悪いことを実症(じっしょう)といいます。
人間のからだを木で例えると、腎(じん)は根にあたります。
根が木を支え、枝葉のすみずみまで栄養を送るのと同様、腎(じん)は人間のからだを支え、内臓のはたらきをコントロールする大事な役割を担っています。
妊娠中は腎虚(じんきょ)にあてはまります。出産後1ヶ月は水に触ってはいけない(家事をしてはいけない)、という慣例がありますが、これも理にかなったことといえます。
妊娠中の養生法
妊娠したら、以下のことに気をつけましょう。
タバコ、お酒はやめる
コーヒー、刺激物は控える
薬、X腺はお医者さんに相談する
十分な睡眠と休息をとる
からだを冷やさない(冷たい飲食物、薄着、空調などに気をつける)
鉄分、葉酸、カルシウムを多めに高たんぱく低カロリーの食事を心がける
からだを清潔に保つ
妊娠初期 (~15週) |
つわりがひどい時は食べたいものを食べたい時に食べて大丈夫です。また、激しい嘔吐のあとは水分補給を忘れないようにしましょう。便秘になったら市販の薬は使わず、必ずお医者さんに相談しましょう。頭痛・めまい・不眠などがひどい場合、下腹部の強烈な痛みがあった場合、出血があった場合は少量でもお医者さんに相談しましょう。 |
妊娠中期 (~27週) |
日本には妊娠五ヶ月目に入ると戌の日を選んで腹帯を巻く古来からの風習があります。犬はお産が軽いのでそれにあやかり安産を願ったものですが、腹帯はおなかの保護と保温のためにも大いに役立ちます。妊娠中は特に冷えからからだを守ってください。 おなかが大きくなるので足がむくみやすくなり、こむらがえりが起こりやすくなります。こむらがえりの予防としては、ビタミンB1やカルシウムをとるようにすると良いです。また、むくみは妊婦体操やマッサージで解消しましょう。塩分や水分を控えることでもだいぶ違ってきます。妊婦体操は肥満予防や安産にも役立ちます。 |
妊娠後期 (~39週) |
下腹部痛や出血は危険信号なので、少量でも見逃さないようにしましょう。長時間立っていることや、荷物の上げ下ろし、車に乗ることは控えましょう。 胃もたれ・胸やけを起こしやすい時期でもありますが、消化のよい食事をとるようにしましょう。 おなかが大きくなったために血液循環が悪くなり、静脈瘤がでます。よくマッサージしてほぐし血行を良くし、寝る時は足を高くして寝るとよいでしょう。 |
産後の養生法
出産は大仕事ですので、からだの疲労も大きく、また精神も不安定(マタニティブルー)になります。これはごく普通の生理的変調なのであまり気にすることはありませんが、お産後はまずはたっぷりと休息を取ることが大切です。
お産後、母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間(約6~8週間)を、産褥期(さんじょくき)といいます。産褥期(さんじょくき)の過ごし方によって、例えば更年期障害など、あとあとのからだの調子に影響してきますので、決して無理をせず養生するに越したことはないのです。
産後の養生法ポイント
睡眠はたっぷりととりましょう
家事や育児は夫や家族に手伝ってもらいましょう
長時間の外出は避けましょう
産後24時間以後は産褥(さんじょく)体操が出来ます。太極拳やストレッチでも良いでしょう。血液循環をよくして母乳分泌を促し、筋肉をひきしめ、ボディラインの回復にも役立ちますので、呼吸法や足首の運動から無理なくはじめてみてください。
たんぱく質、カルシウム、ビタミンB1/B2など母乳の分泌を促す食品を十分にとりましょう
お菓子、添加物、刺激物は控えましょう
腎精はホルモンと深い関係にあり、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛など)で養われています。ミネラルは海藻・貝・豆などに含まれていますので積極的に摂ってください。
良い血液を作るのに不可欠な、葉緑素を含む緑の濃い野菜と鉄分を摂ることも大切です。
それから産後の養生にぴったりな気血を補い、腎を補う漢方薬も役立ってくれます。
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